年齢を重ねるとともに、「シワやたるみなどの肌悩みが増えてきた」と感じている方も多いのではないでしょうか。肌悩みの根本的な原因は、肌の「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」が減少することにあるとされています。
この記事では、線維芽細胞の概要や働き、増やす方法などをわかりやすく解説します。理想とする肌を手に入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
線維芽細胞(せんいがさいぼう)とは?
線維芽細胞(真皮線維芽細胞)とは、皮膚(肌)の「真皮」にある細胞のことです。
私たちの肌は、内側に向かって「表皮・真皮・皮下組織」の3つの層に分かれています。3つの層のうち真皮は、肌の大部分を占めているため、肌本体ともいえるでしょう。
真皮には、コラーゲンやエラスチンによる線維が網目状に形成されており、その隙間に水分を含んだヒアルロン酸などが存在します。これらの成分の働きにより、表皮や皮下組織を支えるのが、線維芽細胞を含む真皮の特徴です。
線維芽細胞のおもな働き
線維芽細胞は、皮膚の機能を保つ重要な役割を担っています。ここでは、線維芽細胞のおもな働きを見てみましょう。
美肌のもとになる成分を作り出す
線維芽細胞には、美肌の3大成分であるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を作り出す役割があります。3大成分の特徴は、以下のとおりです。
- コラーゲン:タンパク質からできた線維で、肌にハリや弾力を出します。
- エラスチン:ゴムのような線維でコラーゲンをつなぐように支え、肌に柔軟性や弾力性を与えます。
- ヒアルロン酸:ゼリー状の物質で、水分を抱え込んで肌の潤いを保ちます。
つまり、線維芽細胞は、肌のハリや弾力、潤いを維持するうえで欠かせません。さらに、線維芽細胞自体が古くなった際には自分自身で分解し、肌の新陳代謝を促進する能力も持ち合わせています。
肌の損傷・炎症を修復する
怪我をした際には、近くの線維芽細胞が移動・増殖して、傷付いた組織に大量のコラーゲンを作ります。医学的には「創傷治癒(そうしょうちゆ)」と呼ばれる働きで、傷の修復をサポートします。
美容医療におけるレーザー治療などは、創傷治癒のメカニズムを応用したものです。光や超音波、針の刺激によって、「ダメージを受けた」と認識した線維芽細胞が活性化し、コラーゲンを作り出します。これにより、肌のハリや弾力を高める効果が期待されるでしょう。
線維芽細胞が減るとどうなる?
私たちの体の細胞分裂は、無限に繰り返されるわけではありません。
線維芽細胞も同様に、加齢や紫外線、乾燥、ストレスなどの影響によって、数が減ったり働きが衰えたりします。すると、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸も減少するため、肌のハリや弾力、潤いが失われるでしょう。
また、真皮が表皮や皮下組織を支えきれなくなることで、シワやたるみ、クマなどとなって見た目にあらわれます。
「良いスキンケア製品を使えば美肌になれる」と考える方もいるでしょう。しかし、スキンケアで肌に塗ったものは、基本的に表皮までしか浸透しません。
みずみずしく理想の肌へ導くためには、化粧品で美肌成分を補うよりも、線維芽細胞自体を増やして、肌本来の機能を取り戻すことが重要です。
線維芽細胞の減少を阻止する方法
日常生活の工夫で線維芽細胞を「増やす」方法は、明らかになっていません。ただし、線維芽細胞を「なるべく減らないようにする」ためにできることはあります。
ここでは、線維芽細胞の減少を阻止するために、心がけたいことを紹介します。
十分な紫外線対策をする
紫外線には、UVA(紫外線A波)・UVB(紫外線B波)・UVC(紫外線C波)の3つの波長があります。このうちUVAは、地表に届く紫外線の大半を占め、肌の真皮層にまで到達するのが特徴です。
紫外線が真皮層に到達すれば、線維芽細胞が傷付く原因になるでしょう。見た目に急激な変化は見られなくても、いつの間にか肌の機能が衰えてしまいます。
UVAは窓ガラスも通過するため、外出の有無を問わず紫外線対策を欠かさないことが、線維芽細胞を守ることにつながります。
バランスの良い食事を摂る
新鮮な野菜や果物などには、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEといった抗酸化物質が多く含まれます。これらの栄養素は、紫外線の影響で発生した活性酸素のダメージを抑えてくれます。
具体的に、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが多く含まれる食べ物の例は、以下のとおりです。
- ビタミンA:かぼちゃ、人参、ほうれん草、レバー、うなぎ、卵黄など
- ビタミンC:パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、レモン、いちごなど
- ビタミンE:アボカド、アーモンド、大豆、卵など
基本的には食事で栄養素を摂取し、どうしても難しい場合には、サプリメントで補うとよいでしょう。
良質な睡眠でストレスを解消する
線維芽細胞がなるべく減らないようにしたいなら、ストレスの影響を減らすことも大切です。なかでも、心身のメンテナンスの役割がある、日々の睡眠を見直しましょう。
質の良い睡眠をとるためには、夕方にウォーキングなどの適度な有酸素運動を行うのが効果的です。一時的に上がった深部体温が就寝時に下がることで、スムーズに入眠しやすくなります。
また、就寝数時間前の入浴で体を温めることや、カフェイン・アルコールの摂取を控えること、室温・湿度・寝具などの睡眠環境を整えることもポイントです。できることから実践してみましょう。
肌の再生医療なら線維芽細胞を増やすことも可能!
日常生活の工夫では限界があるものの、医療技術を用いれば、線維芽細胞自体を増やすことも可能です。線維芽細胞を増やすことについては、近年エイジング治療として注目されています。
先述した創傷治癒のメカニズムを応用する施術のほか、「線維芽細胞移植(肌の再生医療)」も存在します。線維芽細胞移植は、線維芽細胞を含む皮膚の一部を採取し、線維芽細胞を培養して増やしたあとに体内に戻す仕組みです。
線維芽細胞移植が気になる方は、ぜひ慶友形成クリニックでの治療を検討してみてはいかがでしょうか。
慶友形成クリニックの「線維芽細胞移植」の特徴・効果
線維芽細胞移植は、加齢によるシワ・たるみの改善のほか、ニキビ跡などの傷跡を修復する目的でも行われています。
従来の治療では、コラーゲンやヒアルロン酸などを注入する方法が採られてきましたが、これらは体内で分解・吸収されるため、短いスパンで注入を繰り返す必要がありました。それに比べ、線維芽細胞移植の効果は持続しやすく、注入する細胞も自分自身のものなので、拒絶反応を起こすリスクを最小限に抑えられます。
また、線維芽細胞移植では、以下のような効果が期待できるでしょう。
- 肌にハリや弾力が出る
- 潤いやツヤのある肌になる
- ちりめんジワやほうれい線が薄くなる
- 目の下のクマが解消される
- 毛穴が引き締まる
- 首や手の甲の年齢肌を理想の肌に導く
慶友形成クリニックでの線維芽細胞移植の流れ
ここでは、慶友形成クリニックにおける、線維芽細胞移植の流れを6ステップに分けて紹介します。
(1)カウンセリング
最初に当院を受診してから実際に施術をするまでには、一定の日数がかかります。
まずは、専門医が肌の状態を観察し、線維芽細胞による再生医療について詳しく説明します。現在抱えているお悩みや目指したい肌の状態なども、お気軽にお伝えください。
なお、線維芽細胞移植で治療可能な部位は、以下のとおりです。
- おでこ
- 目元
- 頬(全体・ほうれい線)
- 首
- 手の甲
(2)血液検査
血液検査により、線維芽細胞移植の適応判断をします。
万が一、肝炎・梅毒・HIVなどの感染症で陽性反応が出た場合は、ほかの方の培養細胞への感染の恐れがあることから、治療はお断りしています。
(3)皮膚・血液採取
続いて、耳の裏側の目立ちにくい部分から、数ミリの皮膚および培養に必要な血液を採取します。
採取した皮膚片からは線維芽細胞を、血液からは血清を抽出します。
(4)培養
抽出した線維芽細胞に培養液を添加し、培養します。慶友形成クリニックでは、培養液として、お客様自身の血液(血清)だけを用います。
注入が可能な状態になるまで、1~2ヵ月程度の培養期間が必要です。
(5)細胞移植
培養した線維芽細胞を注射器に入れ、麻酔クリームを塗ったうえで患部に注射します。
3~6ヵ月程度の期間をかけて、線維芽細胞が生着して自己コラーゲンが産生され、気になっていた肌悩みを感じにくくなるでしょう。ただし、効果の程度には個人差があります。
(6)アフターケア
注射直後は、肌を冷やして落ち着かせ、化粧水・保湿ジェル・クリーム・日焼け止めを塗布して終了です。
赤みや腫れ、内出血が生じるケースもありますが、赤みや腫れは長くても数日、内出血は一般的に1~2週間ほどで自然に消えます。
まとめ
肌の真皮に存在する線維芽細胞(真皮線維芽細胞)は、美肌成分を作り出すなど、肌の状態を維持する重要な働きをしています。
しかし、加齢や紫外線などの影響によって、線維芽細胞の数や働きは低下してしまいます。肌にハリや弾力、潤いを出したり、シワやたるみを改善したりするためには、生活習慣の見直しとともに、肌の再生医療で線維芽細胞そのものを増やすことがポイントです。
総合美容外科の慶友形成クリニックでは、経験豊富な専門医や治療実績が豊富な指導医が、線維芽細胞移植のカウンセリングからアフターケアまで責任を持って対応します。
ご相談・ご予約は、電話またはメールにて承っています。治療内容や費用の詳細についても、お気軽にご確認いただくことが可能です。詳しくは、以下のページをご覧ください。
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